道ノ尾みちのお(地名)には、機関車のすぐ後ろには、炭車たんしゃがありますね。
その炭車たんしゃ炭水車の上でも、もう、包帯を巻いた
負傷の人がいっぱい乗っとるんですね。
そして列車もみんな包帯を巻いた怪我けがした人が乗っとるわけです。
こりゃ、自分の家内かないにしろ子供がりゃせんじゃろうかと思ったけれども、
まず自分の家に帰ってみようと、思うて、線路…。

線路際せんろぎわにみんなゴロゴロゴロゴロ死骸しがいがあり、
包帯を巻いとる人が居るし、『助けてくれ』とおらびよる人もあるし、
人がもう、線路でも通れん位に人がゴロゴロ転んどるわけですたいね。

それを飛び越して、今の大橋おおはしの鉄橋の所まで来たところが、
鉄橋の枕木が煙を出して燃えとるわけです。
今度は橋渡ってしょう(行こう)と思うたら、橋の上には郵便配達の人が、
目の玉がダラーっと下がって立ったなり死んどるわけですたいね。
言語道断ごんごどうだんじゃと思うて…。

被爆者の絵・救援列車のいる風景、道ノ尾付近(深堀勝一 画/長崎県被爆者手帳友の会 提供) 

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