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証言195 | 8月9日 | そうねおじさん、今取れないね | 当時27歳 |
女の子がね、ここにね、頭蓋骨とね、ここに杉板が入っとるのですよ。
杉板がね、こんなに。これ取ってくれと言うんだ、僕にね。
これ取ったら血が出るし、僕は薬も何もないし、
『山に、治療〈班が居るはずだから、
きみ向こうへ行ってくれないか』と言ったら。
『そうねおじさん、今取れないね』。
『これ取ったら痛くなるから、頼むから向こうへいってくれ』と。
『とにかく頼むから、向こうへいってくれ』と。
それからね、おっさんがここやられたんだ、目と鼻のこれ、
このくらい入るくらいかなあ。
そしたらね『タオルでね、包帯巻いてくれ』と言うんだよ。
巻いたら『目が見えない』って言うんだなぁ。
もちろん見えないはずだよ、これだったらね。
それから、そこの隣のね、幼稚園がつぶされてるんですよね、
焼けてはいないけど。
学校の先生が、鋸〈で一生懸命〈やっとるんだよ。
『先生何やっとるんですか』、『ここに生徒が沢山〈入ってる』ちゅうんだよ。
助けようにも助けられないんだから、鋸〈一本ではどうにもならないだよね。
その当時学徒〈動員〈というのが居りましたね、女の人たちが沢山〈来てたよね。
それがね、田んぼのところにね、ずらーっと全部死んどる、全部。
全部死んどる。