竹藪たけやぶですからね。
それで、その、道路の向こうに家があったのが、
「ぽっ」というような瞬間的に火が、
どことなく「ボッ」っていたですね。
みるみる内に全焼してしまったんですよ。
うわー、こら怖い、なんだろうなぁ、
ちゅうな全然わからんもんですからね、当時。

それでその、空を見たらですね、もおー、青空やったのが、
真っ黒でぎんぎらぎんのゴミとか飛んでですね、どんどんどんどんしてもう、
そしたらそのー、雨粒が落ちてきたです。
泥の雨ですね、あれが竹藪たけやぶの、……ダーッと、雨が降り出したんですよね。

そして、しとったら、下の方から裸で焼けただれた
男の人が走って来とるんですよ。
あれっと思うて『どうしたですかー』って言うたら虫の息ですね…。
『やられた』って言うでしょ、もう、次から次ぎに、怪我けがした人とか、
とにかくただれた人、どんどんどんどん、走って上がって来とるんですよ。
それでその、防空壕ぼうくうごうがあったんですけど、そこに我々はけ込んで、
逃げて、そこの町内の人、みんな来てたけど、
もう、来とったちゅうが、ほとんど、焼かれたり、ただれて血が出たり、
そんな方ばっかりなんですよ。



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