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証言190 | 8月9日 30分後位? | 虫の息で『やられた』 | 当時9歳 |
竹藪ですからね。
それで、その、道路の向こうに家があったのが、
「ぽっ」というような瞬間的に火が、
どことなく「ボッ」って着〈いたですね。
みるみる内に全焼してしまったんですよ。
うわー、こら怖い、なんだろうなぁ、
ちゅうな全然わからんもんですからね、当時。
それでその、空を見たらですね、もおー、青空やったのが、
真っ黒でぎんぎらぎんのゴミとか飛んでですね、どんどんどんどんしてもう、
そしたらそのー、雨粒が落ちてきたです。
泥の雨ですね、あれが竹藪〈の、……ダーッと、雨が降り出したんですよね。
そして、しとったら、下の方から裸で焼け爛〈れた
男の人が走って来とるんですよ。
あれっと思うて『どうしたですかー』って言うたら虫の息ですね…。
『やられた』って言うでしょ、もう、次から次ぎに、怪我〈した人とか、
とにかく爛〈れた人、どんどんどんどん、走って上がって来とるんですよ。
それでその、防空壕〈があったんですけど、そこに我々は駆〈け込んで、
逃げて、そこの町内の人、みんな来てたけど、
もう、来とったちゅうが、ほとんど、焼かれたり、爛〈れて血が出たり、
そんな方ばっかりなんですよ。