窓の外から見たら、 窓の外は本当もう黄色い煙で何にも見えないんです。 これはもうどうなっているんかと思ってですね、急いで廊下を、 めちゃくちゃになっているところを外に出て行ったらですね、 校門の一抱えもあるような大きなコンクリートの門柱がですね、 入れ歯を抜いたようにして、泥を付けたまま、 こっちの校舎側の方に吹っ飛んでるんですよね、2本ともね。 それから、栴檀〈の木や桜の木が、 みんな校舎の方を向いて倒れてしまっているんですよ。
また保健室に行った訳〈ですよね。 そして今度は窓からまた自分の家を見たときにはもう、火の海なんです。 出るときに見た時は、紅塵〈に包まれていた城山〈の街が、 校門まで行って、帰ってから見たときには、全部もう、 どこまで続くか分〈からんように 真っ赤になってメラメラメラメラ燃えているんですね。 それを見たとたんに、行きも帰りもできないで 階段下にうずくまってしまった。 |