気がついたときには部屋の隅っこに、先生も看護婦も患者も、
ひとかたまりになって吹き付けられていたわけですね。
それで、物が壊れたりなんかした煙で息ができないんですね。
何とか息をしたいと思って、丁度ちょうど3階に居ったですから、
で、屋上が4階ですけども。屋上にまずけ上がろうと思って
廊下の方に出たら、廊下も足の踏み場もないんですね。
でもやっと、倒れた物の間を通って屋上に出たんですよ。

その時に、この外が何となく明るく見えてきて、
そしてもう見渡す限りペシャンコになっている。
最初に外来を…、で、患者をとった時にはですね、
自分だけがやられたんではないかと思ったんですけどね。

屋上に上がって、初めて見渡す限りが跡形ない…、
いうこと見て本当ぞっとしたですね。
そして、玄関のところまでやっと、まあ。
玄関というのは病院の玄関ですね、降りてきたんですが、
もうその玄関の入り口あたりには重傷者がうめいているわけですね。
ほとんど、着てる衣類は吹っ飛ばされてる、
あるいは手足は吹っ飛んでいるという状態…

長崎医科大病院廃墟(小川虎彦 撮影/長崎原爆資料館 所蔵) 医学部 西森一正助教授(当時)の血染めの白衣 伊藤明彦 撮影 

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西森一正名誉教授プロフィール 左記のトップページはこちら→ 長崎の原子爆弾被害に関する科学的データ
血染めの白衣 左記のトップページはこちら→ 長崎の原子爆弾被害に関する科学的データ
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