前を見ましたところ、楠が、もうパチパチパチパチとですね、 星のように光って木の中から、火が「パーッ」と吹き出たみたいな感じで、 七色の、色で燃えているのをはっきりですね、この目で見たんですよ。 ああ、これで終 いつ、自分はいつ死ぬんだろうか、っていう気持ちだけっだったですね。 慌 『タダヒロ、タダヒロ』って弟の名前を何回か呼ぶうちにもう、 火傷 『ああここに居た』ちゅうて、左の手で抱 防空壕 真っ二つに割れていた。 頭から血がどんどんどんどん出てますもんですから、 こらいけないと思うて、また慌 あたしも一緒に走って行ったと思います。 その時は家の中も外も、火に包まれましてね…。 お布団 母が『あいた、あいた、あいた、あいた』って言いながらですね、 『お母さん、どうしたの』って、ここを見たら水膨 ビーッっと破れちゃったんですよね。 破れたかと思ったら、そこからヒリつくんでしょうね、 『痛いよ、痛いよ、痛いよ、痛いよ』って、お母さんが始終 |