HOME
証言132
8月中旬頃の情景
短歌 朗読
当時31歳
転
〈
まろべ
〉
るは
屍
〈
かばね
〉
ならずや 息ありて かそかに
蠢
〈
うごめ
〉
く 命ころがる
紫の 煙たなびき 畑隅に 夜も日もすがら
屍
〈
かばね
〉
燃え継ぐ
焼け
爛
〈
ただ
〉
れ 赤ヨウチンの 効もなく
恨
〈
うら
〉
み狂いつつ 息を
絶
〈
た
〉
ちたり
まがうなき この石踏みて 思い泣く 軍病
酒保
〈
しゅほ
〉
の 在りし跡なり
永らえて 我がしみじみと 生きて踏む この石のみが 定め知るのみ
たむろする 浮浪児によりて 今宵寝む ねぐらを聞かば ニヤリと笑う