被爆者の声139

<body><a href="../index.html">HOME</a><br><table summary="証言131"><tr><td class="testi">証言131</td><td class="date">8月15日以前</td><td class="i_midasi">死体を見て怖いとか思いませんよ</td><td class="age">当時16歳</td></tr></table><table summary="背景画像あり"><tr><td class="bg" background="../photo/img342.jpg"><div class="large">もうそれこそ、何千、何百、何万でしょ。見渡す限り死体の中を<br>ずーっと歩き回って、探し回るときになったら、<br>恐怖心なんて全然ないですね。死体を見て怖いとか思いませんよ。<br><br>探して回って、いろいろのそれこそ<ruby>無惨<rp>〈<rt>むざん<rp>〉</ruby>な姿を見て回りましたけどね。<br>中には明らかに、母親が赤ちゃんを、腹の下に抱きかかえるような形<br>そのままの形で焼けているんですよね。<br><br>その当時、怖いとか、恐ろしいとか、死体見たから夜寝られないとか、<br>そんなあれはなくてねぇ、家の中に一人おって、夜になったらもう、<br>市内が毎晩、赤々としているんですよね。<br>あれは『死体を焼く火の明かり』だって。<br>そんなのを見とっても、なんか、よくまあ私だけ助かったもんだっていう、<br>そういう、自分が生き残ったことに不思議を感じるといいますかねぇ。<br>不思議さと、何とも言えない物悲しさというかねぇ。<br>人の命の「はかない」とか、そういう感情が、せき上げて、よく泣きましたねえ。</div></td></tr></table></body>