全部の人を、私は手を握ってですね、決別をしとります。 『その時が、最後の一兵まででしょうね』ゆうち(言って)。 『あなたにも一緒でしょうね』ということを言いきってですね。 そして『勝つまでがんばって下さい』ちゅうのが、 まあ、死んでいく人の願いでしたね。 これはもうはっきり言えます。
それから子供がですね、軍歌を歌とうて死にました。 これは、ほんに涙流れて、私は、手を握りましたがねぇ。 その子供たちはもう、いじらしいけども『お母さん』 ちゅう呼ぶ子もおりますけどね。 やはり、勝つための死に方をしましたね。これはもう、本当に私はもう、 いま、思い出せばですね。たまりません。 中学のですね、3年生の、子供です。 それがもう軍歌〈を歌うたり、校歌を歌うたり、死んでいくんですよね。 それが路傍〈においても、そうであったそうです。 本当に子供がいじらしい死に方をしましたね。 |