あれはものすごいものでしたなぁ。
これがほんまな地獄やなぁと、思いました。
ぞろぞろ、ぞろぞろ、何百人じゃない、次から次来るんじゃから。
それが皆口々に『いたーい、うー、助けてー』とですよー、うなっとるんですよ。
皆が皆、みなもう半死半生、よぼよぼ。

あの時分じぶん粗末そまつな着物であり、夏であった。そこへ放射能びとるんだから、
どうにもならんぼろぼろの着物着とる。それが全部焼けとるでしょう。

なかには、乳母車の砕けたようなのに乗せてもらって来るんですなぁ。
押しとる人そのものが、もうよぼよぼやから。
丁稚車でっちぐるまに二人位乗せて、治療ちりょう班の所に来るんですわ。
引っぱっとる人そのものが、もうよぼよぼやから。
口々に、みんな……、みんな……。『う〜う〜』心からくるしいさけび声ですなぁ。
すぐ死んだ人は幸せな方や!

原爆の図「救出」より (部分)(丸木位里・丸木俊 作/原爆の図 丸木美術館 蔵) 

この証言の関連ホームページ
丁稚車(下の方にあります)
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