『お母ちゃん、お母ちゃん。ね、ちょっと来てご覧』言うて、
また死体が流れてきたよ、人が流れてきたよ』って言うからね。
ち潮になったら向こう、川の方から、もう、
人間の死体だけじゃないんですよ。馬やらね、豚やらにわとりやら、いっぱい。
で、こう行って今度向こうからね、今度は引き潮になるでしょ、
そして今度帰るときはそれがまた返って来るわけなの。

それをね、みんなまだあの、死体処理もできないわけなんですよね。
もう陸の上の方がね、死体処理で大変なもんだから、
川の中の流れた分まで、まだ、げんわけなの。

だからもう、ち潮引き潮になったら両方からこうね、流れて来るわけね。
で、それを見て子供たちがね、数えて遊んでるわけなんです。

被爆者の絵・川に浮かぶ死体や牛、焼けただれ黒焦げになって死んだ人々(楠田フミ子 作/広島平和記念資料館 提供) 

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