行方不明ゆくえふめい者がいっぱい、いるでしょう。
どこで死んだかからないような人がね。
だから昼も夜もね、もうよる夜中でももうね、一晩中ですよ。
『何々やー』って、自分のうちのいない人の名前を呼んでね、
『何々やー、何々…』そんなまた、あの憐れなね。
まあこの広島のアクセントだから、『何々やー、何々やー』言うて、
もうねえ、それが一晩中。

もうほんと、それ聞くだけでもね、もう、身がね、締まるような、
泣きたいような、変な気持ちになりますですよ。

原爆ドームのある焼け跡(林重男 撮影/広島平和記念資料館 提供) 

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