被爆者の声119

<body><a href="../index.html">HOME</a><br><table summary="証言111"><tr><td class="testi">証言111</td><td class="date">8月9～10日頃？</td><td class="i_midasi">死体から金歯をね、ペンチでもってこう</td><td class="age">当時29歳</td></tr></table><table summary="背景画像あり"><tr><td class="bg" background="../photo/img159.jpg"><div class="large"><ruby>沢山<rp>〈<rt>たくさん<rp>〉</ruby>あの、死体があるからって途中で聞きましたから、<br>また歩いていったんです。そんで道ながらだってもう、<br>死体いちいちいちいちこう見ながら行ったんですけどね。<br><br>そしたら<ruby>己斐<rp>〈<rt>こい<rp>〉</ruby>の、小学校にはもうほんとにもう<br>廊下からお手洗いのとこまでもう、<br>死体とそのー、<ruby>怪我<rp>〈<rt>けが<rp>〉</ruby>人でいっぱいなんですよね。<br>で、その中一人一人こうして見て歩いてももう、<br>んでもう二日か三日目になるともう、<ruby>腐<rp>〈<rt>くさ<rp>〉</ruby>ってきまして臭いんですねえ。<br>であのう、子供が背中で、「げっげっ」てこう戻すんですよ。<br>でも『お父ちゃん探すんだからね』って言って<ruby>一所懸命<rp>〈<rt>いっしょけんめい<rp>〉</ruby>でもって探した。<br><br>そしたらね、あの、そんな…そんな人…困ってる中でね、あのもう、<br>死体からね、あの、金歯をね、あの、ペンチでもって<br>こう抜く人がいるんですよ。抜いてこう…全く抜いてるんですよ。<br>だからもう『そんな<ruby>惨<rp>〈<rt>むご<rp>〉</ruby>い事やめて』って私言ったんです。<br>でね、その人も、自分も血だらけになってるんですよね、そのあの、<br>抜いた歯から出る血だのね、なにその、<ruby>怪我<rp>〈<rt>けが<rp>〉</ruby>人なんかの中歩いてますでしょ。<br>だからあたしのことも、恐ろしい人相でにらめつけるんですよね…</div></td></tr></table></body>