被爆者の声116

<body><a href="../index.html">HOME</a><br><table summary="証言108"><tr><td class="testi">証言108</td><td class="date">8月7～8日頃</td><td class="i_midasi">承知しましたと言う以外にない</td><td class="age">当時39歳</td></tr></table><div class="large">えー、分けても、女子<ruby>学徒<rp>〈<rt>がくと<rp>〉</ruby>ですね。<br>この貯水槽、大きなやつが町にこうありましたが、その中へ折り重なって、<br>身体がもうほんとに<ruby>膨<rp>〈<rt>ふく<rp>〉</ruby>れ上がって、この、死んでおりましたですね。<br>だから、水を求めて、貯水槽に集まったもんでございましょうが、<br>もう二重三重にその中に折り重なって死んでおると。<br>で、日赤とか、県病院に、まだ、あー、生命のある、命のまぁある、<br>かろうじてある生徒を運んでありましたが、この、<ruby>収容<rp>〈<rt>しゅうよう<rp>〉</ruby>しきれないので、<br>日赤あたりでもですね、門のところにずっとこの置いてあるわけですね。<br><br>それでこの、<ruby>無欲顔貌<rp>〈<rt>むよくがんぼう<rp>〉</ruby>といいますか、これのその程度の極度ですね、<br>ですからこの、声をかけても反応が無い。<br>まあこの世の人とは思えないという。<br>あくる日行ってみると何人かがそのうち死んでいる。<br>場所を変えて<ruby>脇<rp>〈<rt>わき<rp>〉</ruby>へ移してあると。<br><br>中に元気な人は、『自分はこうして建物<ruby>疎開<rp>〈<rt>そかい<rp>〉</ruby>で<ruby>動員<rp>〈<rt>どういん<rp>〉</ruby>をされて、<br>連れてこられた。そしてこういうことになったんだが、<br>えー、どこどこに自分の家族がおるはずだから、えー、伝えてほしい』と。<br>『はい、承知しました』と言う風に返事する以外にしようがないわけです。<br><br>そこらあたりもう焼け野が<ruby>原<rp>〈<rt>はら<rp>〉</ruby>で、誰こそおりゃせんので、<br>この、連絡のしようのないことは<ruby>分<rp>〈<rt>わ<rp>〉</ruby>かってるんですけれども…はい…</div></body>