で、はっと思ってね、すぐ傘のけて、 西田さん、妹が死んだかも分からんて言ったらね、 『鏡〈持っとるか』と言われたんです。 で、『鏡〈持っとる』って救急道具の中から出したら、 妹のこの鼻息のところあててね、『鏡〈が曇〈らない』と。 『危ない、これはあの、たたき起こせ』と言うんでね、 あの、私は叩〈いたわけですね。妹にね。
あの、叩〈いたらね『お姉ちゃん、お姉ちゃん』てね、三〈こと言ってね、 それきりで、もうあとは全然もうだめでね、それから、 それで事切れてね、それは、10時15分でしたかね。
あとは『それだけのことしてやったんだからね、 もう、諦〈める…諦〈めるんだよ』って、その西田さんがね、言われてね、 『会えなかったら、もし会えずにね、どこかで死んでたらね、 そういう場合もあるんだからね、 それ以上くよくよしたらいけん』言うて言われてね… |