集団疎開先でね、8月のね6日の日だったんですよ。 子どもをね、夜どうしても起こさなくちゃ、夜尿症〈がおったわけ。 12時に子どもを起こしてお便所に連れて行くんですよね、3〜4人。 起こす子は決まってるんですよ。子ども起こしに行ってね。
私がね、便所へ子どもを連れて行って、私も行った時、 すーっと白い着物着た女の人がね、立ってるんですよ、便所に。 私はそれを見て、びっくりしてね。『まぁちょっと来てや』言うて。 子ども起こすわけにいかないけん、寮母さん起こして。 怖ろしくて、恐くて。 『白い着物を着た幽霊が便所の奥のほうに入ってるのよ。 ちょっと来て見てよ』言うて。 『子どもにあんまり大きな声して、 びっくりして夜便所行かんようになったら私困るから、 ちょっと来て見てよ』言うて。私はそれを起こしたの。こうやって。
結局は、私それね、人の魂〈が乗り移るいう、 母の魂〈が私の方へ来たんじゃないかなと思う。 それをみんなに言やね、『そんなことないよ』って言うんですけどね。
それがちょうど8月6日の夜だったの。12時頃にね。 だからね、原爆におうてね、ひどい火傷〈でものが言えんようになって。 まぁ疎開〈先は一度は来とりますから。 結局魂〈が私の方へ来たんじゃないかねぇ思う。 |