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証言083 | 8月6日 | まるで外人を見るようでした | 当時15歳 |
やがて夜がやってきましたが、広島市はさながら真昼のごとく、
炎上しており、家は爆風により倒壊〈し、
空は赤土〈の粉を撒〈き散らしたようにどんよりと曇〈り、
陰惨〈な風景を呈〈していました。
間もなく、『負傷者は集まれ』の声に、
兵籍者、地方民(民間人)を問わず、一つ所に集まりました。
看護婦は一生懸命〈負傷者に布を巻いていました。
手当てするにも資材とて無く、治療〈の施しようも無かったのです。
集まった人を見れば、みな血だるまのごとく、出血しており、
中には女の人も混じっていましたが、髪は赤く縮〈れ、顔の皮膚は赤く、
まるで外人を見るようでした。
一同は応急手当を受け、間もなく兵舎〈の中の毛布を各自一枚あて持って
頭よりかぶり、我々兵隊は病院裏の防空壕〈前に布陣〈しました。
6人一組ぐらい、集団に蚊帳〈を張り、
各自が持っておる毛布一枚あてを用いて寝床にあてました。