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証言078 | 8月6日 夕刻 | 『いや上官をどうぞ先に』 | 当時22歳 |
旗が立ってるのを求めて、怪我人がたくさんおいでるんですけどね。
その来て、してるうちにどんどん亡くなっていくわけ。
そしてまぁ本当鬼のような気がしました、
名前聞いただけで亡くなる方もあるんだから。
その長い列が続きますけどね、待ってる間に死ぬ方もあるわけ。
女の方で、ガラスの破片がいっぱい身体に刺さってた方が、
『お水ください』言われたんです。
で、気の毒に思ってお水ちょっとあげたら、
そしたら、身体中からすぐ泡のようになって水が出てきた。
間なしに、亡くなられました。
時計されてる方は文字盤が皮膚に焼けこんでましたしね。
兵隊さんの場合でしたら、将校〈さんなんかはサーベルですね、
剣だけになって、辺〈は全部焼けてるんですが、
兵隊が担〈いでこられるのがたくさんいましたからね。
だけどその将校〈よりも兵隊さんの方がよっぽどひどいんだから、
『その将校〈さん置いときなさい』言っても
『いや上官〈をどうぞ先に』言いながら死んでいかれた兵隊さんもだいぶおる…
将校:将校とは一般に少尉以上