裸同様な人が、どんどん、どんどん行列を作って、 本当にもう顔を見ると幽霊のようですね。 もう目の淵から唇が大きく膨〈れ上がって。 肩から両手やけどを負〈ってね。 目は見えなくなった人を手を引っ張ったり、おしたり。
ちょうど、私のところへ、表通りですから、 突然女の人が飛び込んできて。 まぁその顔見ると、本当に「お岩」のような顔でした。 髪はもう焼けて、真っ裸ですから。陰部も押さえて。 『すいませんがもんぺか着物貸してください』。 まぁそういう風な若奥さんの姿を見ても、どうすることもできず。 私もこういう状態だから 向こうもそれを察してすごすごと出て行きましたが。
それから間無しに、若い奥さんが何か胸に 肉の塊〈のようなものを持ってこちらへ歩いてくる。 おかしい、何だろうか思うてよく見ると、 生まれて間のない赤ちゃんではないでしょうか。 まぁ無残というか、何ですね、残酷〈と言ってよいか、 何と表現してよいか分〈からんですね。 私もそういう姿を見てですね、本当にもう今こうして語っておっても その当時のことを思うとね、本当にもう地獄絵図と言っても、それ以上のね… |