HOME
証言064 | 8月6日 | 逆ナイアガラの炎が天に向かって | 当時30歳 |
全く凄い勢いで、ガーっという音でね。もう炎の竜巻〈みたい。
竜巻〈じゃない、もっと大瀑布〈っていうんですか、
大きなナイアガラの滝を炎にしたようなやつが逆さまに天に向かって
登って行くやつですね。ガーっと渦を巻きながらね、炎がね。
広島市は、今、断末魔〈の最期〈、…中にあるなと思いながら私見ましたがね。
そのうちに雷鳴〈に似たような音がしてくるんですよ。
そしたらその雷鳴〈がちょうど空襲〈で爆音と、爆撃〈音ですか、
爆弾が遠くでバーンと炸裂〈するような音みたいに聞こえてくるんですよ。
ということはみんなもう気が立っているから。
で、河原に一杯、ご婦人方や我々とか男も女も、
若いも子供も、みんないるんですけどね。
もうみんな『空襲〈だぁー』って言うんですよ。
みんなもう精神錯乱状態になってるんでしょうね。
吐〈き気がするんですね。それからね、便意をもよおすんですよ。
もう恥も無いんですよ、あぁなったら。みんな着物着てない人もいる…、
多いんですからね。
下半身だってもうそのままって人がいっぱいいるんですからね。