それで、その家族が、 『ウチのお母さんが、柱と敷居に挟〈まれてるから、 助けてくれ!』って云うんだ。それで行った。 行ったところで、どうにもこうにも、こんな太い、 直径1尺5寸(約45cm)位あろうかいう様な棟木〈だから、 それと敷居〈の間に挟〈まれて、Vの字になった様なんだ、つまりね。 下半身が挟〈まれて、上は動いたってこっちが抜けない。 それを…、そんな重量物をワシ一人で、 誰が行ったって、どうにもなるもんでない。 あれを動かす、その上に又、物が載ってるんだから。 それで本人は生きてるんですよ。
そのうちにもう、自分の尻の方から、火がボーボー、ボーボー、燃えて来る。 だから『もういいから、私死ぬから、いいからアナタ逃げてくれ!』云われる。 もうそりゃ実際地獄だね。 |