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証言044 | 8月6日 逃げる途中 | むしろ、助かってる事が不思議 | 当時31歳 |
電車は黒コゲになってるしねぇ。
そこで、そうですねぇようやく座るくらいの子供がね、
真っ裸になりまして、線路の上に座ってるんですよ。
どうして真っ裸になって、どうして座っておったか、
それが今もってわからない。
電車は勿論、赤茶けた様な電車がすぐ側〈にありましたけど、
赤ちゃんだけ、どうして生きておったんだろう?
今だったら赤ちゃん助けて逃げますワね。
あの当時の感覚はそんなもんじゃないんです。
原子爆弾、落ちた瞬間ね、親の事も、兄弟の事も、
頭ん中にゃ何も無いですよ。
只、夢遊病者〈のように考える思(考)力なんて全然ない。
そりゃそうですね、人が沢山〈転がってる、転がってる側を平気で歩く。
その感覚っていうのは、今の人にはとっても想像が出来〈んでしょうなぁ。
むしろ、助かってる事が不思議なんですから。