大きな粒の雨が突然降った。 これは、「油脂爆弾」とか、勝手なことを 知ったかふりをしてみんな言い合っとりました。 『水を飲んじゃいけませんょー、水を飲んじゃいけませんょー』 と云うて、軍人らしき者がですね、 後ろから、どんどんこれらも逃げて行くのですが、 注意してくれました。水飲んじゃいけないと。
ところが、道中にズーッと、その道の両側に、 その村の人が皆行列で、しょんぼりして 『南無阿弥陀仏〈、南無阿弥陀仏〈』云って、両手を合わせて、 というのがもう乞食〈という様な事でなく、それよりも一歩まだ深刻な格好で、 全身が血みどろで、上のワイシャツなんかボロボロになって血だらけで 死相で、血を見て顔色悪いし、真っ黒で、 目と歯だけが白いという状態であった為に、 もう村の人はビックリして、只『南無阿弥陀仏〈、南無阿弥陀仏〈』 |