(川)上の方からね、筏に乗って警防団〈の方が、漕〈いで、 どこへ行かれるか知りませんが、いらっしゃるんですよ。 それで『すいません、助けてください! 私この材木(に) 掴〈まってる手がもう放れそうなんですが、 もう主人は亡くなったけど、子供二人の安否がもう、 私は今ここで死んでられないから…』云ってもね、 『あ、小母〈さんよりはもっと助ける人が居〈るんだ』云ってですね、 行ってしまうんです。何人でも。助けてくれません。 ハー、もう仕様が無い思ってましたら、両岸はドンドン燃えますからね、 ファーっと火の勢いが川の中に入りますと、竜巻〈が起こるんです。 一丈〈ぐらい。 それが、バーっとこっちに押し寄せてくるのが、見えるんですよね。 |