腰を屈めてから、這うて四つん這〈いみたいにして歩くんです。 釘〈が上向いとるでしょ、皆、こーなっとるから。 四つ這〈いになってから、裸足でしょ、履〈き物は全然ありませんでしょ。 生きる為にね、我いちがち(我がち)ですよ、逃げるのが、もう怖くて。 その時はホント人間どうかしとるですね、 皆、狂うとりましたよ、本当が。 ワタシ、震〈いよるんです、そのこと考えると恐ろしいから。 そして『助けてくれ、助けてくれ!』云う人ばっかりですよ。 声は聞こえても、姿見えませんの、 皆、建物の下におられるんですから、みんな。 そいでも誰こそね、助けてやる親切さは全然ありませんよ。 自分の身が可愛〈いばっかりなんですよ、ホントウが。
飛行機が来たら、『皆かごめーっ!』って云ってんですよ。 立って歩くの、駆〈けって逃げるのが分〈かるから、 『すぐにそこに転げなさーい』、誰か云うんですよ。 そしたら皆すぐに飛行機の音がしたら皆コロッと転げとるんです。 わからんでしょ、歩くの、転げとったらわからんでしょ、転げたんです、皆。 飛行機逃げたら、又駆〈けって、駆〈けられやぁせんのですよ。 |