被爆者の声23

<body><a href="../index.html">HOME</a><br><table summary="証言019"><tr><td class="testi">証言019</td><td class="date">8月6日　直後</td><td class="i_midasi">いよいよワシャ死んだんじゃ…</td><td class="age">当時49歳</td></tr></table><table summary="背景画像あり"><tr><td class="bg" background="../photo/img123.jpg"><div class="large">この痛いので気が付いて、そして起きよう思うたら、<br>辺りは真っ暗でしょ、おかしいな、……<br>カンカン照りの所、ワシャ歩いてきたはずじゃが、<br>暗くなったのは、ひょっとしたら、ワシャ死んどるじゃあるまいか、<br>こういうこと考えた。<br>死んどるにしちゃ、今までの状態の意識が変わらんのじゃがのぅ、<br>死んでもやっぱり人間はこんな意識があるのじゃろうか、<br>いう<span class="small">（こと）</span><ruby>暫<rp>〈<rt>しばら<rp>〉</ruby>く考えた。ほいじゃがね、<br>いつまでみても暗いでしょ、仕方ないから目つぶって<ruby>伏<rp>〈<rt>ふ<rp>〉</ruby>さっとったんです。<br><br>今度は目開けて見たら、今度は<ruby>大夕立<rp>〈<rt>おおゆうだち<rp>〉</ruby>　の雨が降りますね、降って地面に<br>しぶきが上がるでしょ、あーいう風な状態で、<br>青い火がパラパラ、パラパラ上から落ちて来る。不思議な事やね。<br>これはいよいよワシャ死んだんじゃ、死んだらよくいう<br>鬼が火の車引っ張って来る事は、よー聞いとるが、<br>あれじゃな、確かにワシャ死んだんじゃ。<br>もう死んでも生きててもしょうがない、ねえ？<br>思うて<ruby>諦<rp>〈<rt>あきら<rp>〉</ruby>めて見とったんですがね、<br>そいでもまだね、人間の意識があるんですなぁ。<br>この青い火を見とったら、目が悪うなりゃせんじゃろうか、いう意識があって、<br>目をつむって又<ruby>暫<rp>〈<rt>しばら<rp>〉</ruby>く<ruby>伏<rp>〈<rt>ふ<rp>〉</ruby>さっとる。時間は、ながかったです。<br>今度目を開けて見たら、火は消えて、やっぱり暗いでしょ、<br>どういうこっちゃと考えた。<br>そして駅の方向見ましたら、雲が少し薄くなり、パーっと明るくなってね…</div></td></tr></table></body>